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料金·2026年10月1日·読了8分

Aider の料金:本体は無料、API 代とモデル設定で決まる

料金表には出てこない「Aider がモデル ID を認識するか」が、API 代を一番左右します。仕組みと直し方、試算までまとめました。

ターミナルで動くオープンソースの AI コーディング支援ツール Aider は、本体の料金が 0 円です。Apache-2.0 のソフトウェアで、aider.chat にはプランもティアも席数もホスト型サービスも載っていません。つまり「Aider の料金」とは、実際には Aider から呼び出すモデル API の従量料金のことです。予算を立てるときに見るべきなのは、1 セッションあたりのトークン数 × プロバイダーの単価。そしてその数字を一番膨らませやすいのが、Aider が知らないモデル ID に対して使う初期設定です。2 行で直せるので、下で順に説明します。

先に一つだけ区別を。検索結果には、会計事務所向けの決算業務ソフトを販売する、別の会社の「Aider」も混ざります。そちらが公開している月額料金はその製品のもので、この CLI とは関係ありません。このページで扱うのは aider.chat の CLI、つまり Aider-AI/aider リポジトリから aider-chat パッケージとして配布されているツールだけです。

Aider に払うもの、払わないもの

Aider の FAQ は、ツールを Apache 2.0 のオープンソースとして公開していると明記しています。トップページ、FAQ、インストール手順、LLM 接続ページのいずれにも料金やプランの記述はありません(2026年10月1日確認)。請求はすべてエンドポイントの向こう側で発生します。

項目費用根拠
Aider CLI 本体0 円(Apache-2.0)リポジトリのライセンスと公式 FAQ
ホスト型の Aider サービス提供なし確認した aider.chat のどのページにも該当製品なし
モデル API のトークンプロバイダーのトークン単価各プロバイダーの請求
GitHub Copilot 経由Copilot のサブスクリプションから消費Aider の Copilot ページ
Ollama のローカルモデルリクエスト単位の料金なし(代わりにハードウェアと電気代)Aider の Ollama ページ

チームで標準ツールにする前に、更新状況も確認しておきましょう。リポジトリはアーカイブされておらずスターは 49,309 ですが、main への最後のコミットは 2026年5月22日です(GitHub API、2026年10月1日)。「最新リリース」も二つの公式情報で食い違っていて、PyPI は 2026年2月12日公開の 0.86.2、GitHub Releases は 2025年8月9日の v0.86.0 で止まっています。pip install で入るのは PyPI の版なので、そちらを基準にしてください。Python のバージョンは、インストール手順ページの記述より、0.86.2 のパッケージメタデータにある >=3.10,<3.13 が実際に pip で強制される条件です。

API 料金を一番左右する設定

価格表では見えない部分がここです。Aider は編集フォーマット、リポジトリマップ、キャッシュの扱いを、モデル ID を組み込みの表と照合して決めます。照合に使われるのは --model の後ろに書いた、接頭辞付きの文字列そのものです。どれにも一致しない場合の既定値は edit_format: whole、use_repo_map: false、cache_control: false、weak_model_name: null と高度なモデル設定のページに書かれています。

リリース版 0.86.2 のソースでは、照合は二段階です。まず gemini/gemini-3-pro-preview や openai/gpt-5.2 のような完全修飾名 313 件の表と完全一致で比べ、外れた場合だけ sonnet-4-5、haiku-4-5、gpt-4.1 などの部分一致ルールに進みます。OpenAI 互換のゲートウェイにつなぐときはモデル ID を openai/<id> の形で渡すのが決まりですが、表にある openai/ 付きの 40 件はすべて OpenAI 自身のモデル名です。そのため openai/claude-sonnet-4-6 はどちらの段階にも一致せず、ファイル全体を書き直す whole 編集・リポジトリマップなしで動きます。whole 編集では、モデルが編集したファイルを毎ターン丸ごと出力し直します。出力トークンは請求の高い側です。

直し方は 2 行です。Aider はこのファイルをホームディレクトリ、git のルート、カレントディレクトリから読み込みます。キーは --model に渡す完全な名前です。

.aider.model.settings.yml
# name は --model に渡す文字列と完全一致させる(接頭辞 openai/ も含む)
- name: openai/claude-sonnet-4-6
  edit_format: diff
  use_repo_map: true

一度だけなら --edit-format diff を付けて起動しても構いません。逆に openai/claude-haiku-4-5 は部分一致の haiku-4-5 に引っかかり、diff とリポジトリマップが自動で有効になります。これは名前の偶然で、Aider のリリースごとに変わり得るので、依存せずに毎回確認してください。

見落としやすい影響がもう一つあります。Aider はメインモデル、--architect モードで使う editor モデル、コミットメッセージや履歴要約に使う weak モデルの三役で API を呼びます(オプション一覧)。ID が認識されないと、ソース上 weak と editor の両方がメインモデルと同じになり、三役すべてが一番高い単価で請求されます。--weak-model で安い ID を明示すれば避けられます(同じく openai/ 接頭辞が必要です)。

さらに、認識されない ID ではコスト表示も消えます。input_cost_per_token がないと Aider はトークン数だけ出してコスト行を表示せず、警告のページにあるとおり「モデルは無料」とみなします。次のメタデータファイルで戻せます。

.aider.model.metadata.json
{
  "openai/claude-sonnet-4-6": {
    "input_cost_per_token": 0.0000021000,
    "output_cost_per_token": 0.0000105000,
    "litellm_provider": "openai",
    "mode": "chat"
  }
}

メタデータを入れても、Aider の金額は報告トークン数からの自前の計算です。キャッシュの倍率も特定ベンダーの値が固定で入っているので、目安として使い、最終的にはプロバイダー側の利用記録と突き合わせてください。

1 セッションあたりの試算

以下はトークン計算であって、実測したタスク費用でも請求の上限でもありません。1 セッションでキャッシュなしの入力 200,000 トークンを送り、diff 編集で出力 12,000 トークンを受け取ると仮定します。whole 編集の列は、編集ファイルを丸ごと出し直すぶん同じ作業で出力 40,000 トークンになると仮定した説明用の数字です(実測ではありません)。単価は Kunavo のカタログの 100 万トークンあたりの現行価格です。

モデル入力 / 出力(100 万トークンあたり)diff 編集whole 編集(既定)
Claude Haiku 4.5$0.70 / $3.50$0.182$0.280
GPT-5.6 Terra$0.70 / $4.20$0.190$0.308
Claude Sonnet 4.6$2.10 / $10.50$0.546$0.840
Claude Opus 5$3.50 / $17.50$0.910$1.400

この仮定では、編集フォーマットだけで Claude Sonnet 4.6 の同じ作業が $0.546 から $0.840 に変わります。プロバイダーの単価を比べる前に設定を直すべき理由です。コミットメッセージや要約の通信(仮に入力 30,000・出力 2,000 トークン)も、メインに寄せたままなら Claude Sonnet 4.6 で $0.084、weak モデルに Claude Haiku 4.5 を指定すれば $0.028 です。

実際の予算にするには、1 日のセッション数を掛けてください。Kunavo のカタログ価格は請求の下限であって上限ではありません。上流が料金を報告した場合は、カタログ価格と「上流の料金 × 所定の上乗せ率」の高いほうが請求されます。キャッシュの料金と外部ツールはこの例に含めていません。

「一番安い API」は二つの問い

Aider には、検証し直せる唯一のタスク費用の手がかりがあります。ポリグロット・ベンチマークは 6 言語・225 問の Exercism 課題を同じ条件でモデルごとに解かせ、費用も記録しています。

ベンチマークの項目正答率225 問の費用実行日
gpt-5 (high)88.0%$29.082025-08-23
gpt-5 (medium)86.7%$17.692025-08-25
o3-pro (high)84.9%$146.322025-06-28
gpt-5 (low)81.3%$10.372025-08-25
o3 (high)81.3%$21.232025-06-25
DeepSeek-V3.2-Exp (Reasoner)74.2%$1.302025-10-03

リーダーボードのデータファイルから読んだ値です。注意点が二つあります。最新の行は 2025年10月3日のもので、それ以降のモデルはここでは一度も測られていません。また費用列には価格表の日付がなく、その日の実行にかかった額であって、今日買える単価ではありません。ここに挙げたモデルはベンチマークの証拠として名前を出しているだけで、DeepSeek は Kunavo のカタログにありません。上の試算表で安い側に当たるのは Claude Haiku 4.5 です。

使える結論はこうです。o3-pro は gpt-5(high)の 5 倍かかって点数は低かったので、高い単価は完了を保証しません。逆に安い単価も最小の総額を保証しません。3 回やり直す安いモデルは、1 回で終える高いモデルより高くつくことがあります。レビューの手間が許容できる範囲で作業を終えられる一番安いモデルを候補にし、そのタスクでアカウントに実際に記録された額で確かめてください。Aider の /tokens はコマンド一覧の定義どおり「現在のチャットコンテキストのトークン数」で、これまでの請求の合計ではありません。

ルート別の向き不向き

ルート向いている場合引き換えになるもの
ベンダー直の API一社の主力モデルを一日中使い、そのベンダーのキャッシュやバッチ割引を使いたいベンダーが増えるたびにアカウントが増える。ID が Aider に認識されるかの確認は必要
OpenRouterタスクごとにモデルを切り替えたく、Aider にモデルを認識させたいAider は専用の OPENROUTER_API_KEY と openrouter/ 接頭辞を持つので ID もメタデータも解決される。料金面は OpenRouter の FAQ によれば推論単価に上乗せはなく、クレジット購入時に手数料がかかる
OpenAI 互換ゲートウェイAider に専用モジュールのないエンドポイントで、キー一本・残高一つにまとめたいopenai/ 付き ID が組み込み表に一致しない限り、編集フォーマット・リポジトリマップ・コスト情報を一度手で設定する(上の設定ファイル)
サブスクリプション型エージェント定額で毎日ヘビーに使いたいAider 自身にサブスクはなく、サブスクを消費するのは Copilot ルートだけ
ローカルモデル小さな作業や機密性の高い作業、リクエスト単位の料金なしホスト型の最上位モデルとの性能差と、動かすハードウェア

ゲートウェイを使う場合の境界を二つ。Aider 専用モジュールのないゲートウェイは、OpenAI 互換 API のページどおり OPENAI_API_BASE、OPENAI_API_KEY、そしてモデル ID の openai/ 接頭辞(必須)で接続します。Anthropic 形式のベース URL を上書きする設定は文書化されておらず、0.86.2 のソースにも ANTHROPIC_API_BASE という文字列はありません。また、この経路でプロンプトキャッシュの割引を当てにしないでください。キャッシュのページは対象ベンダーを限定し、--cache-prompts の明示的な指定を求め、ストリーミング中はキャッシュの統計と費用が出ないとしています。互換経路でキャッシュが効くかどうかは、このページでは試していません。

Kunavo で使う場合と支払い方法

Kunavo にはこのクライアント向けの設定ガイドがあります。ただしそれは公開された設定の参考資料で、互換性テストではありません。Aider を Kunavo のエンドポイントに対して実際に動かした検証はしておらず、このページの内容はすべて Aider のリリース版ソースと公式ドキュメントから読んだものです。今使えている経路は残したまま、範囲を決めたタスクを一つ実行し、アカウントに記録された請求額を確認してください。

支払いは前払いのチャージ制で、月額はありません。最低チャージは $10(タスク料金でもサブスクでもなく、残高を作るための最低額)で、チェックアウトは Stripe です。日本からはカード(Visa、Mastercard、American Express、JCB)、Apple Pay、Link が使えます。詳しくは請求の説明を、アカウントはこちらから作成できます。クライアントどうしで比べたい場合は、英語版の Aider pricing(このページの元になった詳細版)や Cline pricing も参考になります。

FAQ

Aider の料金はいくらですか?

Aider 本体は無料です。Apache-2.0 のオープンソースで、aider.chat のトップページ・FAQ・インストール手順・LLM 接続ページのどこにも、プラン、席数、サブスクリプション、ホスト型サービスの記載はありません(2026年10月1日確認)。実際に払うのは、接続したモデル API の従量料金です。GitHub Copilot 経由で使えば Copilot のサブスクリプションから、Ollama のローカルモデルならリクエスト単位の料金はかかりません。なお、会計ソフトを販売する「Aider」という別会社があり、その月額料金はこの CLI とは無関係です。

Aider に有料プランやサブスクはありますか?

ありません。Aider 独自のアカウントも有料版もなく、Aider にお金を払って解放される機能はありません。サブスクリプションで Aider を使う唯一の方法は、Aider が文書化している GitHub Copilot ルート(OPENAI_API_BASE を Copilot のエンドポイントに向ける)です。Aider のドキュメントは、この経路の呼び出しは Copilot のサブスクリプションで課金されると説明していますが、これは Aider 側の解釈で、GitHub の規約そのものをこのページで確認したわけではありません。

Aider で一番安い API はどれですか?

「単価が安い」と「タスクを安く終えられる」は別の問いです。Aider 自身のポリグロット・ベンチマークでは、同じ 225 問で gpt-5(high)が正答率 88.0% を 29.08 ドルで出した一方、o3-pro(high)は 146.32 ドルかけて 84.9% でした。5 倍の費用で点数は下です。DeepSeek-V3.2-Exp Reasoner は 1.30 ドルで 74.2%。単価の安いモデルが本当に安いのは、やり直しなしで作業を終えられる場合だけです。自分のリポジトリで少数のタスクを試し、プロバイダー側に記録された請求額で比べてください。

Aider にコストが表示されないのはなぜですか?

Aider がそのモデル ID を認識していないからです。リリース版 0.86.2 のソースでは、input_cost_per_token が登録されていないモデルの場合、トークン数だけを表示してコスト行の手前で処理を終えます。$0.00 ではなく、何も表示しません。--model に渡す完全な名前をキーにした .aider.model.metadata.json に input_cost_per_token と output_cost_per_token を書けば表示が戻ります。ただしこの金額は Aider が報告トークン数から計算した概算で、プロバイダーの請求書ではありません。

Aider はまだメンテナンスされていますか?

リポジトリはアーカイブされておらず、Apache-2.0 のまま公開されています(2026年10月1日時点でスター 49,309)。ただし更新ペースは落ちています。main への最後のコミットは 2026年5月22日、PyPI の最新パッケージ aider-chat 0.86.2 は 2026年2月12日、GitHub Releases は 2025年8月9日の v0.86.0 で止まっています。今後の方針についてのメンテナーの声明は見つからなかったので、これは発表ではなく更新日付から読める事実として扱ってください。

Aider のリポジトリ、パッケージ、ドキュメント、リーダーボードのデータは 2026年10月1日に確認。動作に関する記述はリリースタグ v0.86.2 のソースに基づきます。Kunavo の単価はライブのカタログから表示しており、このページの金額例はすべて説明用のトークン計算で、実測したタスク費用ではありません。